ROMA/ローマ

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原題:ROMA 
製作国:メキシコ・アメリカ(2018年) 
日本公開日:2018年12月14日
監督:アルフォンソ・キュアロン

 

Netflix作品で初のベネチア金獅子賞獲得が話題のアルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』を、もちろんNetflixで鑑賞。細部まで完全にコントロールされた私的にして詩的な演出は歴史的傑作の趣き。

メキシコを舞台にした監督の幼少期の思い出を、全編モノクロ、全編スペイン語、無名俳優ばかり、大きな事件も起きず、派手なアクションもCGもなく、なんと劇伴すらなく、ほぼ固定されたカメラワークの映画ということで、こんな地味なもの売れないと大手配給会社がどこも買ってくれずにいたところ、手を挙げたのがNetflixだったとのこと。

Netflixは監督の好きなように撮らせてくれるとはよく聞きますが、確かにまったく商業的ではない私的にして詩的な演出にも関わらず、画面の隅から隅まで完全に意識的にコントロールされている説得力は充分エンターテイメントになる、という感じ。クライマックスの海のシーンは思い出すだけでグッときてしまう、最新にしてクラシックな映画史的名場面になりえるのでは?

Netflix作品なので劇場公開の予定がないらしいけど、実際には最先端6KカメラのALEXA65で撮影し、音響もDolby Atoms仕様とのこと。同監督の『ゼロ・グラビティ』は成田IMAXで観終わったあとに、文字通り重力に魂が引かれたように腰が抜けてしばらく座席から動けないくらいインパクトありましたが、『ROMA/ローマ』も本当は映画館で同じような体験が出来たのではと思うと大変残念です。同じくNetflix配信でベネチア脚本賞を獲ったコーエン兄弟の『バスターのバラード』も超〜好みのいい映画でしたが、今後こういうNetflix配信のビッグタイトルが増えるとどうしたもんかなという気はします。Oculus Go買えばいいのか。

機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096

f:id:cosmication:20190106013619j:plain 原題:起動戦士ガンダムUC
製作国:日本(2016年)
日本公開日:2016年4月3日
監督:古橋一浩

『【入門】ガンダム好きのオジサン8人に「ガンダム沼のハマり方」を教わってきた【ネタバレあり】』の記事を受けて、観ていなかった『ガンダムUC』をNetflixでいまさら観る。予備知識ゼロで観たらこれまた超〜面白い!セルフパロディ的なサンプリング連発、劇中でも「ガンダム」がすでに物語となっているようなメタっぽい構造、その上で現代のファン目線でアップデートされたMSVとかリアルかつケレン味あふれる戦闘シーンが痺れまくる。マリーダの「お前もガンダムか!」(いや百式だよ!(本当はデルタプラス))みたいなシーン最高!時代的にも趣味嗜好的にもサンプリング、引用、オマージュ、パロディを真っ当に享受できる我々に対するご褒美ですね。

「男はつらいよ」新作も是非こういう感じで作って欲しいと思いました。

ウォーキング・デッド(ネタバレ)

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原題:The Walking Dead
製作国:アメリカ(2010年-)
日本公開日:2010年11月
監督:フランク・ダラボン

Netflixで『ウォーキング・デッド』シーズン1〜7まで一気に視聴。45日間で99話なので1日2.2話か。ちょうどS7観終わった当日にS8公開開始で驚いた。以下ややネタバレ。

これまた調べて驚いたけど個人的に印象深いシーンといえば、

  • デールがウォーカーに腹を引き裂かれる
  • ウッドベリーのゾンビファイト
  • 頭だけになったハーシェル
  • 終着駅の人肉処理場
  • アレクサンドリアのうざい兄弟の弟が顔から噛まれる
  • カールが撃たれる
  • そして!みんな大好きS7-1のニーガン大撲殺

なんと、これらの話が全部同じ監督回!グレゴリー・ニコテロ監督。トム・サヴィーニ門下でロメロ作品にも参加した特殊メイクのプロ中のプロということで、上記のような数々の手の込んだゴアシーンも大納得。S4以降は毎回第1話と折返しの第9話を任されてるので、世界観のかなり重要な部分を占めてるんではないでしょーか?これから見るS8も第1話と第9話、そして最終16話もニコテロ監督なので超期待してます。

クッキング・ハイ: マリファナ料理対決

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原題:COOKING ON HIGH
製作国:アメリカ(2018年)
日本公開日:2018年6月22日

Flixfreakの間で話題のNetflixオリジナル番組『クッキングハイ』。世界初の大麻料理番組ってのが売りなわけだけど、実際のところ番組内で「大麻」を連呼しまくるあざとさがやや露悪的だし、料理自体も日本で言う「料理対決」とは全く違って特別美味そうでもないんだけど、とにかく吹き替えが超〜最高で、その上毎回ゲストが話す大麻小噺は最高だし、出演者の会話がクロスしまくる(音声メチャクチャ)中で誰も拾わないつぶやきがいちいち最高だったり、一方で大麻専門家のンガイオが「ダハハハハ!」と爆笑してるだけのカットは毎回丁寧に拾ったりと、番組の作りがメチャゆるくて超ハイ。ホントにどーでもいいところで思わず吹き出しちゃうこの感覚こそがマリファナ的編集なんだとしたら、そりゃ大したもんだし、やはり中毒性があるので危険だと思います。吹き替え大推奨。

生きのびるために

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原題:The Breadwinner
製作国:カナダ・アイルランドルクセンブルク(2017年)
日本公開日:2017年6月1日
監督:ノラ・トゥーミー

Netflixで『生きのびるために』鑑賞。昨年、世界のアニメ映画祭で『この世界の片隅に』他を抑えて各賞を受賞したというインディーズ映画だけど、まー重すぎて朝から観るような話じゃなかった。

タリバン政権下のアフガニスタンの日常は、現代日本に住む身として「フィクション」としか思えないほど悲惨だけど、生きる希望となるのもまた「空想」の力だったり、そうした出来事や伝統を「物語」として語り継ぐことの重要性を「アニメ」(原作は児童書)で伝えるという、様々な「フィクション」が多重なメタ構造となってやがて現実と結びつき、最後の最後に「物語にする理由がある」というフィクションを全肯定する強烈なセリフで完落ち&感涙。暗くて地味で道徳の授業で観るような映画だけど、日本では劇場公開されずにNetflixでリリースというのも寂しい話ですが、フリックスフリークスの皆さんは観られてラッキーですネ(落ち込むけど)。

ハノーバー高校落書き事件簿

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原題:American Vandal
製作国:アメリカ(2017年)
監督:ダン・ペロー、トニー・ヤセンダ

Netflixの話題作『ハノーバー高校落書き事件簿』一気見。高校の駐車場で起きた「27台チンポ落書き事件」の真犯人を追うドキュメンタリーを撮影していた学生が次第に学校の暗部に近づいていく、という様子を映したフェイク・ドキュメンタリー。

とにかくチンポ連呼しまくりで、過去に見た映画やドラマ、ドキュメンタリーの中でも最多チンポだったような気がしますが、その上で犯罪ドキュメンタリーを丁寧にトレースした硬派なパロディであり、ややこしい人間関係もスクールカースト全開で非常〜にわかりやすく(すべての事件はプロムで起こる!)、1話30分×8話という気軽さもあってグイグイ観てしまいました。FLIXFREAKSの皆様に是非オススメです。

日本版の予告編作った方がいい。